威風堂々

春から社会人

オケを辞めた話

母は大学時代何だったか忘れたが運動系の緩いサークルに所属していたらしいがどうやら幽霊部員もとい幽霊サークル員だったらしい。それはバイト戦士だったからなのだが、そんな母が言うには「サークルなんて辞めたきゃ辞めていい」ということらしい。まあこれは真理と言えば真理ではある。サークルに限らず部活でもそもそも自分からお金を払って所属しているものなのだから本来的には辞めることに関してとやかく言われる筋合いはない。まあ実際には人間関係とか役職持ちだったりとかいろんなしがらみで簡単には辞められないものですが。

私はオーケストラに所属していたのだが、この間辞めた。大学オーケストラという団体は団体にもよるだろうがなかなか難しくて、部活ではないがだからと言ってサークルと言うには厳しすぎる。お金も取られる時間もいわゆる緩い人間関係重視の「サークル」とは段違いである。そもそも私が大学オーケストラに入ったのは、高校で楽器をやっていたので新しいことを始める勇気もないし音楽を続けようというのが一つ、そして単純にオーケストラに憧れがあったのが一つ。私が高校時代に所属していた部活は室内楽でオーケストラもどきだったのでオーケストラをちゃんとやってみたかったのです。

私は小学校時代にはテニスと実験教室に通い、クラブ活動では囲碁将棋→手芸→卓球という遍歴をたどり、中学ではそのまま卓球部に所属、高校では楽器を始めました。卓球も楽しかったですがどこか漫然とやっていた感がありました。その点高校から勇気を出して始めた楽器はとても楽しくてもっとうまくなりたい、続けたいと思えました。

4月末の入団時点ではめちゃくちゃやる気がありました。6月の定演、めちゃくちゃうまくて感動しました。定演が終わって夏の演奏旅行。実際にオーケストラの中で演奏する体験はとても楽しかったし、やっぱり定演に乗りたいなと思いました。この気持ちは紛れもなく本物でした。それで迎えた次の期。私はメンバーに選ばれませんでした。まあうすうすは思っていましたが同期で一人上手い人がいて彼だけがデビューしました。正直に言うとこの時は家で泣きました。実力が足りないのはわかっていても定演に乗りたくて入ったのでやっぱり悔しかったし、どこか乗れるんじゃないかと考えていたところがあったので。大学オケ最高峰ということでみんなうまいんですよね。私と同じく高校から楽器を始めた人が大学2回生でトップをやっているくらいです。こういう言い方をしたくはないですが私の高校時代の楽器経験は遊びみたいなもんだったんだなという現実を突き付けられました。高校から始めても基礎練をしっかりやって、先生について熱心に練習していた人たちと、楽しもうみたいな気持ちでやっていた人とは同じ年数でも技術に開きが出るのは当然です。ここら辺から私のオケ生活に影が落ち始めます。次の期こそ乗ろうと気持ちを新たにしたのですが定演に乗れない期の間は目標がなくてやっぱりだれてしまう。1回生の中ではトップクラスに自主練に行っていたつもりでしたがうまくなっている実感が持てない。深夜練で体力的にも疲弊する。精神的にもだんだん追いつめられる。その4か月で気持ちがだんだん離れていきました。吊り橋効果的なものでこのままだとオケの辛さが楽器の辛さに置き換わってしまうような気がしました。

辞めたのにはお金の問題もあったのですが、結局本当にやりたいことをやっているときってお金なんて些細な問題なんですよね。お金がもったいないと思い始めた時点でもうダメ。この1年弱で私はオケに10万以上払ったんじゃないかと思いますが、やっぱり楽しかった時には出費が辛いとは思ってももったいないとは思わなかった。でも最近はいろいろあってもうオケにこれ以上お金を払いたいと思えなくなってしまった。そういうことです。

これがきっかけだという出来事があるならば、内田真礼さんのサイン会がオケの練習日に決定したことでしょうか。うちのオケは練習をある程度自由に休むことすらできなくて、当然サイン会なんかじゃ休めないことが容易に想像できました。よくも考えてみればお金を貰って働いているアルバイトは希望すれば理由の如何を問わず休めるのに、高額なお金を払って所属しているオケは忌引きか体調不良でしか休めないというのもおかしな話でした。4月ならばともかく気持ちの離れていた最近の自分では推しのイベントよりオケが大事だとはどうしても思えませんでした。他にもこの団体が練習や総会に関しては時間に厳しすぎるくらいなのに逆にそれ以外に際しては適当すぎるところなど細かい不満は蓄積していました。

辞めてしまって今となっては時間を持て余しているところはありますが、それでも今まで辛い思いをしてサークルに行っていたのが馬鹿らしくなるくらい生活が快適です。過去を後悔してもしょうがないですし、オケに入ったのが間違いだとは思いませんが辞めたのは正しかったと思います。一つ言うなら楽器はまだ続けたかったですがおそらくこの先弾く機会がないと思うのが残念です。

高校までは部活に入るのがある程度スタンダードみたいなところがありました。中には所属を強制する学校もあると聞きます。大学でもサークルや部活に所属する人が多数派ではありますが、高校までよりは格段に所属しなければいけないという風潮は弱いです。4月5月でサークルに所属しない決断をするのはなかなか勇気がいるかもしれませんが、前も書いた通り何に時間やお金を使いたいかを考えた上で慎重に決めることが大事です。別にサークルに所属しなくても人間関係は作ろうと思えば作れますし、最悪人間関係が作れなくてもそこまで困りません。過去問が手に入らなくても試験は別に乗り切れますしね。

新大学生は失敗しないようにしてください。新歓でただ飯食うだけ食ってサークル入らなくたって何の問題もないんですから。所属するなら最低限、活動日、休めるか、費用くらいは聞いておきましょう。オケが実際そうでしたが都合の悪い情報(例えば普段の練習以外に深夜練があること、突然練習日以外に練習が入る可能性があることなど)は隠している場合があるのでそこははっきりさせておきましょうね。